職人の目線 No20
- 2018年08月01日
- こまブログ
お直しの注文を受ける時、まずお品物の布に注目します。
衣服は布から作られています。
布にもたくさんの種類があります。
一般的なのは、経糸と横糸で織られている布。=布帛(ふはく)。
その中で、伸縮する糸で織ってある布。=ストレッチ素材。
主に毛糸使って編んである布。=ニット。
他にも、透けて見えるくらい薄い布。=レースとか 紗、絽 等。
ほとんどの布は、糸を使った織物が使われています。
時々、見た目は布であっても糸を使っていない布もあります。
紙を作るような工程で布の様に作られた物。=不織布。
動物の皮を布に使うこともあります。=皮、毛皮
お直しに持ち込まれる服は、本当に多種多様です。
布の特徴に合わせて、工夫をした仕立てがしてあることもあります。
仕立ても日々進化して、最近は糸を使わず特殊接着してあったりして驚きました。
接着剤はやっかいです。接着してある部分は剥がせません。
糸が使われていれば縫うためのゆとりの布がありません。
直す部分にもよりますが、技術的に出来ない場合が多くあります。
言葉にすると、「ちょっと解いて縫うだけ」と言われる部分でも
解いた後 縫えない場合もあるので、細心の注意が必要です。
お品物を触りながら、少し引っ張ったり裏に返したりしながら、
布の種類はどうか、仕立てはどうなっているか、
様々な部分を確認させていただいて、直せるかどうかを考えます。
ただ単に 解いて縫うだけの作業だけでも、それなりの時間と手間がかかるのです。