職人の目線 No20

お直しの注文を受ける時、まずお品物の布に注目します。

衣服は布から作られています。

布にもたくさんの種類があります。

一般的なのは、経糸と横糸で織られている布。=布帛(ふはく)。

その中で、伸縮する糸で織ってある布。=ストレッチ素材。

主に毛糸使って編んである布。=ニット。

他にも、透けて見えるくらい薄い布。=レースとか 紗、絽 等。

ほとんどの布は、糸を使った織物が使われています。

時々、見た目は布であっても糸を使っていない布もあります。

紙を作るような工程で布の様に作られた物。=不織布。

動物の皮を布に使うこともあります。=皮、毛皮

お直しに持ち込まれる服は、本当に多種多様です。

布の特徴に合わせて、工夫をした仕立てがしてあることもあります。

仕立ても日々進化して、最近は糸を使わず特殊接着してあったりして驚きました。

接着剤はやっかいです。接着してある部分は剥がせません。

糸が使われていれば縫うためのゆとりの布がありません。

直す部分にもよりますが、技術的に出来ない場合が多くあります。

言葉にすると、「ちょっと解いて縫うだけ」と言われる部分でも

解いた後 縫えない場合もあるので、細心の注意が必要です。

お品物を触りながら、少し引っ張ったり裏に返したりしながら、

布の種類はどうか、仕立てはどうなっているか、

様々な部分を確認させていただいて、直せるかどうかを考えます。

ただ単に 解いて縫うだけの作業だけでも、それなりの時間と手間がかかるのです。


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