- 2018年07月19日
- こまブログ
No7
ボタンと対になるものが、ボタンを通す穴。
ボタンを留めるためには、それを通す穴(ボタンホール)が欠かせない。
主に布に切り込みを入れて糸でかがってある場合が多い。
時々、布の断ち切りにループがついていたりする。
とにかく、布が外れないように 何かしらの考えられた仕掛けがあって、ボタンは留まっている。
黒船が日本に来た時、
洋服に使われている部品の中で一番珍しかったのは、金ボタンだと言われている。
金色で丸い金具の装飾が、当時の人達にとって珍しいものだったという。
仕立て職人はボタンを通す穴を布にどうやって作るのかと、相当悩んだと思われる。
西洋と日本では、そもそもの歴史が違う。
正式なジャケットの衿には、飾りに使うためだけにボタンホールが付く。
議員の方や、会社でお偉い方など、バッジをつけたりする、ボタンではなく飾り穴。
その名前をフラワーホールと言う。
ナポレオンが戦から戻って来てバラの花を差し出された時、
剣で衿に穴をあけてそのバラを付けたと言われている。
それ以来、布に多くの切り傷があるデザインがカッコイイとされて、
わざと布に傷をつけて飾り穴にした男性のファッションが流行した時期もあった。
日本人の発想では、おそらく、そういうことはしない。
着物の仕立て方から考えてみても、そもそも、布に切り込みを入れるのを嫌う。
後々使うことを考えて、なるべく大きい布のまま残そうと考える。
ありのままを好む傾向があるし、実物の花を体や服に飾ることも考えない。
江戸時代の日本に、ナポレオンの噂は届いていたのかなぁ。
鎖国していて、情報も少なくて、しかも着物には”ボタン”の必要がない。
日本でボタンが必要になるのは洋服を着るようになってからだとすると、明治以降。
歴史も習慣も文化も違う。
黒船が来るまで、ボタンを知らなかったのだから、日本に職人がいるはずがない。
着物しか知らない職人が洋服を作れと言われたら、困っただろうなぁ。
それでも何とか作ろうとした職人がいて、洋裁の技術を取り入れてきた。
切り込みを入れないで布を留めるには、スナップボタンがある。
凹凸があって、糸で縫いつけるスナップボタンは布を切らずに済む、
表面に糸が出るのは面白くないし、同じ布で飾りを付けてボタンにしよう、って考えた。
着物のコートに飾りボタンを見ると、そんな職人の歴史を感じます。