No106 職人とは
- 2018年12月13日
- こまブログ
和裁士をしていた頃に言われたことがある。
「同じものを1000個作ったら、どんな人でも職人になれる」
聞いたときは、ふわっと受け流していた。
でも、考えてみたら、その通りだと思う。
「石の上にも3年」という言葉がある。
3年間を日にちにすると、1095日。
仮に月に2日休んだとして、毎日続けると1000日。
単純に計算して、毎日同じ物を1つ作るとしたら。
それだけ作ることが出来るなら。その人は間違いなく職人。
それが一日で出来上がるような”物”でなくても
3年間何かに打ち込んだとしたら。自分の中に得るものは大きい。
3年間という時間は短いようで、けっこう長い。
ずっと同じ事を続けるには、いくつかの壁がある。
嫌になるときもあるし、やめたくなる時もある。
悩むときも、迷うことも。途中休んだとしても。それでも。
職人になれる人は自分が続けようと思ったことをやめられない。
続けられることは、やっぱり「好きだから」。
自分の中にある気持ちに嘘がつけないから。
自分にしかわからない使命感みたいなものに逆らえない。
自分の中に積み重ねていたものが1000日を超える時、
名前のない職人に、その時すでになっている。
その人の結果に対して与えられる評価が『職人』
職人になりたい人や職人になろうとする人は多いけど。
そうして始めたことを1000回続けられる人は少ない。
もし続けられたら。気が付かずに1000回を超えていたら。
その人はそれだけで立派な職人。