No264 和裁と洋裁
- 2019年06月12日
- こまブログ
「和裁と洋裁で何が違いますか?」
元和裁士だと言うと、よく聞かれる質問。
一言で答えるには難しい質問なんだけど。
あえて答えるなら、「文化が違う」だと思う。
服を仕立てる工程は、大きく分けて2つ。
1、布を切る。=裁断
2、つなげる(縫う)=仕立て
洋服も和服も同じ服だから、工程は変わらない。
でも、方法や考え方は全く違う。
布は貴重だから、無駄なく使おうとするのは変わらない。
無駄なく使う事に対しての考え方に違いが出る。
洋服は、着る人がその服を長く着られるように仕立てる。
布の量を最小限にしながら作る。
仕立てる時、その服を着る人を重視して体に合うように仕立てる。
本人に仕立てられた服を、他人が着ることはない。
物は物として、服を作るためだけに使われる。
和服は、使われる布が素材として長く使えるように仕立てる。
同じ布を、違うものに作り直して最後まで使えるように作る。
仕立てる時、次に仕立てる時の布を残しながら仕立てる。
ほどいて縫い直しをすれば、誰でも着れるようになる。
物に寿命があるかように、布は大切に使われる。
どちらがいいとか、悪いとかではなくて。
物を大切にしたいと思った時の考え方が違うだけ。
洋服は、体に合わせる為に布を曲線に小さく切る。
和服は、布をリサイクルしようとするから鋏を使わない。
長い歴史の中で培われた文化が違うのだ。