No75 ミシンの革命

布を縫うためのミシン。構造は、いたってシンプル。

電気の力を使って、ベルトを回して、布を縫う。

 

昔は足を使って踏んでいた。

分厚いものを縫う時や、長い期間を回し続けるには力が必要。

結果、ミシンを扱う職人には男性が多かった。

 

時代が変わって、今のミシンは電動。

モーターの力は強くて調節もできるし、疲れることもない。

モーターのスイッチ調節なら、体力の少ない女性でも扱える。

 

電動ミシンは、産業革命だったろうな、と思う。

男性だけの社会に女性が進出した頃は、今は伝説になっている。

朝ドラ「カーネーション」のモデル、小篠綾子さんも 伝説の一人。

https://www.fami-geki.com/carnation/

 

明治に時代が変わって約70年後の大正時代。

昭和の戦後に時代が変わって約70年後の今。

大きな革命があって、改革が必要な時代の空気感は似ている。

今の時代は、さしずめITとかAIだろうか。

 

最新のミシンはAIの技術を使って学習もするらしい。

返し縫と直線縫いとの見分けがつかない程のクオリティ。

新しい技術を知る時、職人は必要なくなるな、といつも思う。

ゆっくり、確実に進化して、良いものが小さな労力で可能になる。

今までのように、職人の長い修業時間も必要なくなる。

 

いつの時代も、同じように進化してきた。

革命が起きて時代が変わるのは、今の時代も変わらない。

昔の職人も同じようなことを感じていたと思う。

古参の職人に、新しい職人が挑むのは珍しくない。

時間は平等に流れているから、新しい職人はいずれ古参になる。

気が付いた時には全員死んでいて、当時の様子もわからない。

 

それくらい、人間の進化って遅い。

変化の時はゆっくりで、後から振り返って全員が気が付く。

遅い変化の中で、今、自分に出来ることは何だろう。

 

真似できない職人の技術の蓄積の上に今の技術がある。

少しでもいいものを残すこと。

職人の感性を新しい技術に応用すること。

未来の職人は、小さな力でもっといいものを作れるようになる。

そう考えたら、今の職人にしか出来ない事がある、と思う。

今は、わからないけど。答えは未来にある。


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