No296 日本の黒
- 2019年10月05日
- こまブログ
黒い服と言えば、一番に思いつくのは喪服。
お葬式や法事など不祝儀には黒い服を着る習慣がある。
黒には何かしら不幸のイメージがつきまとっている。
着物の喪服は白の家紋が入った黒の無地。
黒の喪服には「喪に服する」という意味が込められている。
結婚式で着る親族の女性の正装で、着物には「黒留め袖」があった。
帯から上は喪服と同じ黒。加えて当時はお歯黒をしていた。
裾には縁起の良い華やかな柄があるが、正座をすると喪服のようになる。
男性の正装は、黒の紋付と羽織、袴を着ける。
全員が正座をしているお座敷では、喪服を着ているように映った。
西洋の文化を調べると結婚式に黒を着る習慣は全くない。
お祝い事や華やかな場面で、とにかく黒は嫌悪されていた。
正装に黒が使われるようになったのは、ごくごく最近のこと。
服は文化を表していて、文化の違いは色にも表現されている。
明治時代、初めて日本の結婚式を見た西洋人を想像すると。
文化の違いは衝撃的で、異様な光景に映ったに違いない。
一口に黒色と言ってもいろんな黒がある。
緑に近い黒、赤に近い黒。比べると違いがある。
絹の素材に染めた時、違いが出るのも黒の特徴。
結婚式やお葬式、生活に密着した服に黒を使ってきた文化があって、
布地に様々な黒色を染められる技術を育ててきた一面がある。
親しみやすい日本の黒。
日本の文化は、身近なところに息づいている。