No304 時代の節目

年号が令和に代わってから、昭和が遠くなった気がする。

昭和から平成に変わった時には感じなかった思い。

年代の違いだろうか。

10代と40代では受け止め方が違う。

年齢を重ねた分、当たり前のことを考える。

 

子供の頃、近所におばあさんがいた。

その方の三十三回忌に、古い写真を見せていただいた。

同じ地区の人の集まり。たくさんの集合写真。

セピア色の写真に小さな私も写っている。

昭和の時代を私も確かに生きていた。

 

「速ければ何でもいい」

大量に生産する事を求められた。昭和中期は物不足の時代。

新しい物しかないのだから、必ずそれを使う。

効率的で生産性がよく、機能も優れている。

古い物を知識として知っていれば、使えなくても問題ない。

速く、正確に、大量に。

人間の手や自然の速さでは追いつけない。

良くも悪くも、前だけを見て突っ走るしかなかった。

 

平成の変化を、目まぐるしく感じていた。

古いものは壊された後だったから、ノスタルジーは感じなかった。

年配の人の言う、「昔はよかった」がわからなかった。

壊したものは蘇らない。過ぎた時間は戻せない。

そんな当たり前の事に気付けるようになった。

 

令和になった今、時代は緩やかに変化している。

パソコンやスマホの進化で、求められるものが変わる。

先の事はわからない。条件は同じ。

だけど進化した今は、昔に戻りたい気持ちまで吹き飛ばしてしまう。

前だけを見て、今を楽しむ未来を。

何十年後かに振り返った時、いい時代に向かう節目だったと。

令和の年号が変わる時、きっと言えるはずだ。


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