- 2019年03月09日
- こまブログ
日本語で絹。
英語はsilk(シルク)、イタリア語でseta(セータ)
シルクロードは文字通り、中国から絹を運んだ道のこと。
布の素材の中で一番高価な素材。
太古の昔から存在する天然素材の絹。
生産が難しく、希少価値の高い絹。
大量に作れない理由の一つは原材料にある。
絹の原材料は蚕(かいこ)という虫の糸。
蚕は蛾の一種で、卵から幼虫になり成虫になる。
芋虫のような幼虫が成長してさなぎになる時に糸を吐く。
さなぎの周りに繭を作ってその中でさなぎになる。
糸はその繭を茹でて取り出すことが出来る。
蚕の糸は切れにくく丈夫だけど、1匹から撮れる糸は細い。
着物を1着作るには約三千個の繭が必要。
それだけの蚕が茹でられて殺されて布が作られている。
養蚕農家で、蚕を数える時、「1頭、2頭…」と数えるのは、
蚕の命を大切に思ってきた人達の想いが込められていると思う。
大量に絹を作るには大量の蚕が必要になる。
蚕のエサは桑の葉のみ。
良い糸を吐く蚕は繊細で、飼育はたいへん難しい。
2か月程度で成虫になるけれど、季節によって品質は変わる。
大量に安定的に糸を作るには、別の方法が必要だった。
糸の歴史を調べると、自然の糸を作ろうとしてきた人の足跡が見える。
蚕の糸を目指して良い糸を作ろうとした人の努力がわかる。
日本で養蚕をしている場所は、今はもう、ほとんどない。
蚕を殺さなくてもいいい糸で、今の服は作られている。
天然の絹は正絹(しょうけん)と言う。
数は少ないけれど、色や手触りは最高にいい。
やっぱり絹は布の中で王様だ、と思う。